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『一九八四年』イメージイラスト

1984年に読もうと思っていて忘れたという、よくあるパターン。

で、読み逃してから三十数年ほど過ぎた先日、ようやく読みました。
高橋和久氏による新訳版。電子書籍です。

さすがに、これだけ時間が経っていると、その間にいろんなところからネタバレというか、この作品の記事や話題が耳に入ったり目にしたりするので、読む前からだいたいの話の流れは知ってました。
それでも、読むのには全く興味をそがれるようなことも無く、最後まで面白く読みました。

いわゆるディストピア小説の古典的名作という評価だと思うのですが、僕にもそういうイメージで取っつきにくいのではという感じがありました。
しかしこれは新訳のためかもしれませんが、読み始めるとそんなことはまるでなく、すっと作品世界に入っていけました。

物語は、それほどドラマチックなことが起こるわけでもなく、比較的淡々と進んで、小説内テキストや問答や主人公の思索などが交互に現れ、その間に、時折、具体的な描写が入ってくるという構成だと理解しました。

解釈とか無いんですが、全体に読み応えというか、小説を読んでるなあという満足感が(笑)
そんな感想でいいのか……。
作品の感想、というよりは、掲載したイメージイラストが描きたかったというのが、正直なところかもしれません。

この世界の権力に都合の良いように事実をひとつ改変するたびに、つじつまを合わせるためにひたすら過去を書き換えていく作業が延々と続く世界、というのには妙に惹かれました。